最初にアプローチしたのは若く美しい女性の方でした。相手は同じ職場のラボで働く主席研究員。幼くして父を亡くした彼女にとって彼は父親のような尊敬できる存在として興味を感じたのです。男性は6年前に愛妻を亡くして以来、独り身。目の前に現れた若くて美しい女性に対して当然のことながら”親子愛”以上の愛情を感じます。そのズレから二人の関係に亀裂が生じます。女性の方から距離を置こうと決心したとき、偶然にも、男性の方も職場を離れる決心をしていました。

その二人の関係が、いわゆる男女の関係に変わるきっかけになった男性の決めセリフがこれです。

You’re just trying to figure it out.

日本語の字幕では「いくつになっても、もがいてる」と訳されていたこのセリフの、本当の意味が分かればネイティブレベル、と言えるでしょう。

“figure it out”は「理解する、解決する、計算する」ですから、この英文を直訳すれば

あなたはただ、それを理解しようと努力しているだけです

ですよね。どうしてそれが日本語字幕の「いくつになっても、もがいている」となるのでしょうか。しかも若くて美しい女性が、年上の男性を異性として意識するようなインパクトがあるのでしょうか。

単語はすべて中学レベル。キーワードは「You」です。

「You」は「あなた(たち)」とは限らない

ネイティブが会話で使う「You」の役割に「I(自分)以外の人を表す」というのがあります。「I(自分)の対局としての広い意味でのYou(=自分以外の人たち)」です。

ですから、この英文の本当の意味は

(自分以外の人たちは)物事を常に理解し、計算し、解決しながら生きているのかもしれない(が、自分には、それができないんだ)

と、自分の内面を赤裸々に表現しているんです。しかも尊敬できる目上の人から、そんな告白をされたら、ギャップ萌えでキュンとしてしまいますよね。

今日のまとめ 「You」は「あなた(たち)」とは限らない

映画やドラマはネイティブ英語に触れる絶好の機会。ぜひこのセリフを含む、二人の会話を楽しんでください。主人公の若い女性が、職場の上席でもある男性のことを忘れる決心をするところから始まります。